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インタビュー宮本 和典さん

「いい農家さん」には明確なビジョンがある

Q
発起人である私、川嶋が宮本さんに逆インタビューします!
宮本さんも自身でいろいろな野菜を作っているんですよね?

アスパラ、ショウガ、ニンニク…といろいろ育てていますね。珍しい作物だと、青パパイヤとか「安納こがね」と呼ばれる皮の色が白い安納芋とかね。実験的にやっている面も大きいですけど、これらがちゃんとした値段である程度の数を出せるようにまでなれば、農家さんにも「こういうの作れるよ。育て方をレクチャーするよ」って提案できるようになりますから。

Q
おとなりさんちを立ち上げるにあたって、宮本さんから
とても優秀な農家さんばかりを紹介していただきました。
ところで、宮本さんが考える「いい農家さん」ってどんな農家さんなんですか?

肥料のプロとしての観点からお話しすると、「いい農家さん」というのは“自分の信念”みたいなのを持っていますね。「この肥料をこれだけ入れれば、この野菜がこのくらいできるのか。じゃ、その通りにやる」みたいな上辺だけの考えの方はまずいません。「私はこういう野菜を作りたい!」「こういった部分にこだわった農業をしたい!」という明確なビジョンを持っていらっしゃる。だから、農法もそうだし、肥料もそうだし、土壌の分析なんかも率先してやっていて、すごく勉強もされている。私たち宮本肥料店がお邪魔するとスゴいですよ。「盗んでやろう」くらいの勢いで、培ってきた知識や技術にものすごく興味を持っていただけるし、貪欲に、レベルの高い質問を次々となげかけてくれます。当然、こちらとしてもやる気になりますし「絶対にその思いを叶えてあげよう」という責任感が芽生えてきますよね。

提唱する「バランス栽培」の面積と需要を高めていきたい

Q
大多数の農家さんって、JAの言いなりというか、
こだわって作ってもそれが正当に評価されないんですよね。
そういった“日本の農業の闇”を打ち破るのも、
おとなりさんちの使命のひとつだと思っています。

もうね、JAをはじめとする大きな組織や団体では管理しきれなくなっているんですよ。これからの日本の農業の未来を考えると大改革が必要な時期になっているんですよね。これはある知り合いの農家さんから聞いた話ですが、農林水産事務所が有機農業の支援だとかで「減農薬栽培のための補助金を出す」って言ったそうなんです。なので、その農家さんは「うちは減農薬じゃなくて無農薬でやるよ」と言ったら、申請が却下されたらしいですよ(笑)。あくまで減農薬の補助金だからって。なんか本末転倒過ぎて笑ってしまいましたが、それが今の農業の現状です。川嶋さんもおっしゃっていましたが、同じような大きさ、同じような形、同じような味の野菜を安定して供給することに焦点が置かれ、おいしさとか安心・安全は二の次になっているんですよね。

Q
宮本さんはよく有機栽培のことを「バランス栽培」と呼んでいます。
これにはどういう意図があるんですか?

本来、野菜や果物作りってとてもシンプルなんです。畑などの土壌に含まれる成分のバランスが整っていれば、作物中の栄養バランスも整うわけで、結果、安心・安全、味もおいしいという作物ができます。ただ、今の日本の畑のほとんどは化学肥料や自然環境の変化などによって“あるべき姿”からかけ離れているんですよね。それを私たちの有機肥料を使って、それこそ“整える”ということをしているんです。つまり、畑や作物が不健康にならないための予防のような栽培方法、誰が食べても安心で、おいしいと感じる栽培方法という意味で「バランス栽培」という呼び方を使っています。浜松市でもっともっとこの「バランス栽培」への理解が深まっていけば、日本の農業を変えるきっかけになると思いますよ。今後はおとなりさんちというコンテンツを最大限に活用して、慣行栽培と同じレベルで「バランス栽培」の面積を広げていきたいですし、その需要を高めるための情報発信なども徹底していきたいですね。

宮本 和典

おとなりさんちの運営元である「宮本肥料店」の代表取締役。地元浜松で約70年に渡り有機栽培に携わってきた知識・技術、地元農家との幅広いコミュニティを駆使して、「土下座してでも食べてもらいたい」作物を収集。当サイトでそれらの紹介・販売を行っている。高校時代は体操でインターハイ出場。その後もビリヤードプロ、競艇選手を経験するなど、珍しい経歴の持ち主でもある。